私たちが日常的に消費している食品には、「賞味期限」が表示されています。賞味期限とは、食べ物や飲み物が「おいしく食べられる期限」を指しており、消費者にとって非常に重要な情報です。しかし、賞味期限が切れた食品や飲料は、本当にすぐに捨てなければならないのでしょうか?
特に日本で人気のあるお茶やほうじ茶の場合、賞味期限が切れても飲めるのかどうか、保存方法に注意すれば長く楽しめるのかなど、多くの疑問が浮かびます。
今回は大正3年創業のほうじ茶専門店森乃園より、賞味期限と消費期限の違い、ほうじ茶や他のお茶の保存方法、そして賞味期限切れのほうじ茶の活用方法について詳しく解説していきます。おいしいお茶を長く楽しむための知識をぜひご参考ください。
そもそも賞味期限とは?
賞味期限とは、購入後の食べ物を「おいしく食べられる期限」のことを指しており、日本の法律では店頭で販売されているほぼ全ての食品に賞味期限が表示されています。消費者は消費期限を参考にして買い物をしたり、購入後の食品を管理したりできるのです。
賞味期限と消費期限の違い
食品の中には、賞味期限ではなく消費期限または両方が表示されているものがあります。賞味期限が「おいしく食べられる期限」であるのに対して、消費期限は品質が急速に劣化する食品に表示するもので、「安全に食べられる」期限となっています。
賞味期限と消費期限の違いを理解しておくと、食品ロスを少なくできるでしょう。
賞味期限は未開封の状態で保管した場合を指している
賞味期限に関する注意するべきポイントとして、賞味期限は「未開封かつ正しい保存方法」で保存した場合のおいしく食べられる期限という意味を持ちます。
そのため、開封後または誤った方法で保存した食品は、賞味期限よりも早く食べられなくなる可能性があります。例えば、保冷が必要な食品を常温で保存したり、瓶詰めの食品を開封してパックに入れ替えたりすれば、賞味期限までおいしく食べられるとは限らないのです。
個包装の商品でも、外袋を開けることで食品の気密性が下がります。賞味期限は、あくまで未開封の状態の食品を指していると考えてください。
一般的なお茶の賞味期限の目安とは?
賞味期限は、食品や食品の密封方法・処理方法により異なります。続いて、お茶の賞味期限の目安について見ていきましょう。
ほうじ茶を含むお茶の賞味期限の目安
ほうじ茶の賞味期限は商品により多少異なりますが、一般的には未開封で約半年程度の賞味期限が設定されています。開封後のほうじ茶は密封できる容器に入れ、1ヶ月程度で飲み切るようにしてください。
その他のお茶の賞味期限の目安
乾燥させた緑茶の茶葉(未開封)の賞味期限は半年〜1年程度、開封後は可能な限り早めに消費することが推奨されています。緑茶の賞味期限も、ほうじ茶と大きな違いはないと考えて良いでしょう。
紅茶は緑茶よりも酸化が進んでいることから、未開封の場合は2〜3年保存可能です。ただし紅茶も、開封後は早めに消費しなければいけません。
ほうじ茶の香りとおいしさを保つ正しい保存方法とは?
開封後のほうじ茶は少しずつ風味が失われていきます。では、開封後であってもできるだけおいしさを保つにはどうすればいいのでしょうか?
ほうじ茶の香りやおいしさを長く維持するためには、次のような方法でほうじ茶を保存しましょう。ほうじ茶の正しい保存方法を知っておけば、いつでもおいしいほうじ茶を楽しめるでしょう。
ほうじ茶の香りとおいしさを保つ保存方法 1.密封した状態で保存する
空気に触れた茶葉は酸化が進んでしまいます。密封できる容器に入れて可能な限り空気との接触を減らしましょう。
具体的には、茶筒またはジップロックの活用がおすすめです。茶筒は茶葉を保存するために作られており、茶葉が空気に触れること、直射日光に触れることを防ぎます。
茶葉の分量に対して大き過ぎる茶筒を使うと、茶葉が空気に触れる面積が増えてしまうため、保存する量に合わせたものを選んでください。
また、市販のジップロックも茶葉の保存に適しています。余分な空気を抜きながら、しっかりジップロックの口を閉めれば気密性を高められますが、遮光性はないため保存場所には注意が必要です。購入時のパッケージが気密性・遮光性が高いものである場合、パッケージをそのまま活用すると良いでしょう。
ほうじ茶の香りとおいしさを保つ保存方法 2.冷蔵庫や冷凍庫に入れず常温で保管する
ほうじ茶を冷やすと、茶葉がボロボロに壊れてしまうため、未開封・開封後のどちらの状態でも、冷蔵庫や冷凍庫に入れずに常温で保存します。
ほうじ茶の香りとおいしさを保つ保存方法 3.直射日光が当たらない場所に置いておく
ほうじ茶に関わらず、茶葉が長時間直射日光にさらされると、香りが飛んだり風味が失われたりする可能性があります。お茶は紫外線や熱に弱いため、直射日光が当たらない場所に保存しましょう。
賞味期限が切れたほうじ茶を飲んでも良い?
冒頭でもお伝えしたように、賞味期限は「おいしく食べられる期限」を指しています。そのため、多少賞味期限が過ぎた食品を口にしても、体調不良につながる可能性は低いと考えて良いでしょう。ただし、賞味期限切れのほうじ茶には、次のような問題が存在します。
風味が落ちている可能性がある
賞味期限が切れているほうじ茶は賞味期限内のほうじ茶と比較して、風味が落ちている可能性があります。特に開封後のほうじ茶は、日々風味が落ちていくと考えるべきでしょう。ほうじ茶を購入する際には、賞味期限内に飲み切れるかどうかを考え、自分に適した容量の商品を選ぶことをおすすめします。
古い茶葉は消臭剤として活用できる
賞味期限が何ヶ月も過ぎてしまって、飲めないほうじ茶がご家庭にある場合、そのまま捨てるのはお待ちください。実は意外な活用方法として、消臭剤として利用ができるんです。続いて、古い茶葉の活用方法について見ていきましょう。
乾いた状態で下駄箱やクローゼットの消臭剤にする
賞味期限が大幅に過ぎたほうじ茶の茶葉をお茶パックに小分けし、クローゼットや靴箱に入れてください。ほうじ茶に含まれるクロロフィルは強い消臭効果を持っているため、嫌な臭いを取り除いてくれます。定期的に中身を入れ替えれば、常に家の中の嫌な臭いを消し去ることができるでしょう。
電子レンジで温めて電子レンジの臭いを取る
小皿に大さじ2杯程度の茶葉を入れて、電子レンジで500〜600W温めます。この方法で電子レンジの中にこもりがちな嫌な臭いを、取り除けます。ただし稀に茶葉が焦げることがあるため、茶葉を加熱している時はレンジ内の様子を見ておいてください。
シンクの掃除や抗菌に使う
茶葉に含まれるカテキンには抗菌作用があります。出汁パックなどに古くなった茶葉を入れてシンクを磨くと、消臭・抗菌と同時に掃除ができるでしょう。
淹れた後のほうじ茶の消費目安
急須を使ってお湯だししたほうじ茶を、長時間放置する方は少ないと思いますが、ほうじ茶をまとめて作って冷蔵庫で保管したり、水筒に入れて持ち歩いている方は、淹れた後のほうじ茶の消費目安も知っておくべきでしょう。
おいしくほうじ茶を楽しむためには、お湯だし、水出しの両方で当日中に飲み切ることをおすすめします。日持ち期間は、煮出したお茶は冷蔵庫で3日程、水出しであれば、1~2日持ちます。
まとめ:お茶の賞味期限はどれぐらい?ほうじ茶は賞味期限切れでも飲める?
いかがでしたか?今回の内容としては、
・賞味期限は「おいしく食べられる期限」であり、消費期限とは異なる
・ほうじ茶の未開封時の賞味期限は約半年、開封後は1ヶ月程度で飲み切るのが理想的
・開封後は密封容器を使用し、常温で直射日光を避けて保存すること
・淹れたほうじ茶は、お湯出し・水出し共に当日中に飲み切ることを推奨
以上の点が重要なポイントでした。賞味期限が切れても、風味が落ちる可能性があるものの、すぐに体調に悪影響を与えるわけではありません。また、開封後は保存方法に注意することで品質を保つことが可能です。さらに、賞味期限が大幅に過ぎた茶葉は、消臭剤や掃除道具として有効に活用できます。
ほうじ茶等のお茶の香りを保ちながら、おいしく飲むためのアドバイスとして、ぜひ今回の内容を参考にしていただければと思います。
伝統の焙煎技術が生む極上の味わいをお試しください
大正時代から続く森乃園の自家焙煎ほうじ茶は、厳選された茶葉と長年培われた技術が融合し、一杯ごとに香ばしさと甘みを引き出しています。職人が茶葉の状態を見極め、焙煎の工程を繊細に調整することで、独特の風味が生まれます。
伝統と革新が詰まった一杯を、ぜひお家でのリラックスタイムに楽しんでいただきたいと思います。